「歩くとふくらはぎが痛い」「運動するとふくらはぎが張る」「片方のふくらはぎだけ痛い」など、ふくらはぎの痛みに悩んでいませんか?
ふくらはぎの痛みは、筋肉の疲労や使いすぎだけでなく、スポーツによる負担、長時間の立ち仕事、姿勢や歩き方、筋肉や腱の障害など、さまざまな原因によって起こります。
また、痛みの中には血管や神経などが関係している場合もあります。
そのため、「ふくらはぎが痛いからストレッチをすればよい」と一律に考えるのではなく、痛みが出た状況や痛み方、腫れや熱感などの症状を確認することが大切です。
この記事では、理学療法士の視点から、
- ふくらはぎが痛くなる主な原因
- 痛み方から考えられること
- ふくらはぎの痛みで注意したい症状
- 自宅でできるセルフケア
- 医療機関を受診する目安
について、できるだけ分かりやすく解説します。
ふくらはぎとは?どのような筋肉がある?
ふくらはぎは、主に腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋という2つの筋肉で構成されています。
この2つの筋肉をまとめて「下腿三頭筋」と呼びます。
下腿三頭筋は、歩く、走る、階段を上る、ジャンプするなど、日常生活やスポーツで重要な役割を担っています。
また、立った姿勢を安定させるためにも働いているため、日常生活の中で繰り返し負担がかかりやすい筋肉です。
姿勢や歩き方によって身体の使い方に偏りが生じることもあります。姿勢の左右差や身体のバランスについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ふくらはぎの筋肉はアキレス腱を介して踵の骨につながっており、足首の動きとも密接に関係しています。
そのため、運動量が急に増えたり、歩き方や足首の動きに特徴があったりすると、ふくらはぎに負担が集中することがあります。

ふくらはぎが痛くなる主な原因
ふくらはぎの痛みには、さまざまな原因があります。
ここでは、日常生活で起こりやすいものから、注意が必要なものまで整理します。
筋肉の使いすぎ・疲労
ふくらはぎが痛くなる原因の一つが、筋肉の使いすぎです。
例えば、
- 長時間歩いた
- 坂道や階段を多く歩いた
- 久しぶりに運動した
- ランニングの距離を急に増やした
- ジャンプ動作を繰り返した
などの場合、ふくらはぎの筋肉に普段より大きな負担がかかることがあります。
特に、普段あまり運動していない状態から急に運動量を増やすと、筋肉に疲労や張りを感じることがあります。
長時間の立ち仕事
販売業、調理師、美容師、看護師など、長時間立って仕事をする方も、ふくらはぎに負担がかかりやすくなります。
立っている間も、下腿三頭筋などの筋肉は身体を安定させるために働いています。
同じ姿勢を長時間続けることで、ふくらはぎに疲労や張りを感じる場合があります。
身体の左右差や筋肉の使い方の違いについて詳しく知りたい方は、筋肉のバランスについて解説した以下の記事も参考にしてください。
スポーツによる負担
ランニング、バスケットボール、バレーボール、サッカーなど、走る・止まる・跳ぶ動作を繰り返すスポーツでは、ふくらはぎに大きな負荷がかかります。
特に、
- 急に練習量を増やした
- 久しぶりにスポーツをした
- 疲労が蓄積している
- 筋力や柔軟性が運動量に追いついていない
といった場合には、筋肉や腱への負担が増える可能性があります。
姿勢や歩き方による負担の偏り
姿勢や歩き方の特徴によって、左右の脚にかかる負担が異なる場合があります。
例えば、
- 片脚に体重をかける癖がある
- 歩幅や歩く速度が左右で異なる
- 足首の動きが硬い
- 特定の動作で片側に体重が偏る
などです。

ただし、ふくらはぎの痛みがあるからといって、必ず姿勢が原因とは限りません。
歩いていると足が疲れやすい、長く歩くと下肢に負担を感じるという方は、歩行時の疲労について解説した以下の記事も参考にしてください。
姿勢や歩き方は原因の一つとして考えられますが、筋肉・腱・神経・血管など、ほかの要因も含めて考えることが大切です。
筋肉や腱の障害
スポーツ中などに急に強い痛みが出た場合は、筋肉や腱の損傷が関係している可能性があります。
例えば、急なダッシュやジャンプなどをきっかけに痛みが出た場合には、肉離れなども考えられます。
スポーツでは競技ごとに走る、止まる、跳ぶなどの動作が異なるため、身体への負担も変わります。スポーツと姿勢や筋肉の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、ふくらはぎから踵にかけて痛みがある場合には、アキレス腱周辺の障害が関係していることもあります。
急に発生した強い痛みや、歩くことが難しいほどの痛みがある場合は、無理にストレッチをせず医療機関への相談を検討しましょう。

痛み方から考えるふくらはぎの原因
ふくらはぎの痛みは、「いつ痛いのか」「どのような動作で痛いのか」によって考えるべき原因が異なる場合があります。
歩くとふくらはぎが痛い
歩行によって筋肉に負担がかかり、痛みが出ている可能性があります。
特に、最近歩く量が増えた、運動を始めたなどの場合は、筋肉への負荷が関係していることがあります。
一方で、一定の距離を歩くとふくらはぎが痛くなり、休むと改善するという症状が繰り返される場合には、血流に関係する病気も考える必要があります。
末梢動脈疾患では、歩行時にふくらはぎなどに痛みが生じ、休むと改善する「間欠性跛行」が代表的な症状の一つです。
そのため、このような症状を繰り返す場合は、単なる筋肉疲労と自己判断せず、医療機関に相談することが大切です。
運動後にふくらはぎが痛い
運動後にふくらはぎが張ったり痛くなったりする場合は、運動量に対して筋肉への負担が大きかった可能性があります。
特に、
- 久しぶりの運動
- 急な運動量の増加
- ランニング
- ジャンプ運動
- 坂道や階段の多い運動
などでは、ふくらはぎへの負担が増えやすくなります。
痛みが強くなる場合は、運動量を一度調整しましょう。
朝や安静時にも痛い
朝起きたときや安静にしているときにも痛みがある場合は、単純な運動後の筋肉疲労だけでは説明できないことがあります。
痛みが続く場合や徐々に悪化している場合には、自己判断でストレッチを続けるのではなく、医療機関への相談を検討してください。
片方のふくらはぎだけ痛い
片側だけ痛い場合には、左右の筋肉の使い方や歩き方の違いが関係することもあります。
しかし、片脚の痛みだけで原因を判断することはできません。
特に、片側のふくらはぎに急な痛みと腫れ、赤みなどがある場合には、深部静脈血栓症など血管に関係する病気も考える必要があります。
深部静脈血栓症では、片側の脚やふくらはぎの腫れ、痛みなどがみられることがあります。
腫れや熱感を伴う
ふくらはぎの痛みに加えて、
- 明らかな腫れ
- 赤み
- 熱感
- 左右差
- 急激な症状の変化
などがある場合は注意が必要です。
このような場合は、自己判断で強く揉んだり、無理にストレッチしたりせず、医療機関に相談しましょう。

ふくらはぎの痛みで注意したい病気
ふくらはぎの痛みの多くが重い病気によるものとは限りません。
しかし、筋肉の疲労だけではなく、血管や神経などが関係している場合もあります。
深部静脈血栓症
深部静脈血栓症は、脚の深いところを走る静脈に血栓ができる病気です。
片側の脚やふくらはぎの腫れ、痛みなどがみられることがあります。
深部静脈血栓症の血栓が肺へ移動すると、肺血栓塞栓症を起こす可能性があります。
そのため、突然片側のふくらはぎが腫れて痛くなった場合などは、自己判断で様子を見続けないことが重要です。
末梢動脈疾患
末梢動脈疾患は、脚の動脈が狭くなったり詰まったりすることで、血流が悪くなる病気です。
代表的な症状の一つが、歩いているとふくらはぎなどが痛くなり、休むと改善する「間欠性跛行」です。
「歩くと毎回ふくらはぎが痛くなるが、少し休むとまた歩ける」という状態が繰り返される場合は、医療機関で相談することをおすすめします。
神経が関係する痛み
腰や下肢の神経が関係して、ふくらはぎに痛みやしびれを感じる場合もあります。
例えば、
- ふくらはぎの痛みとしびれがある
- 腰の痛みもある
- 特定の姿勢で症状が変化する
- 脚に力が入りにくい
などの場合には、筋肉だけが原因とは限りません。
症状が続く場合は、整形外科などで相談しましょう。
筋肉や腱の障害
運動中に急激な痛みが生じた場合には、肉離れなど筋肉の損傷が関係している可能性があります。
また、ふくらはぎから踵にかけて痛みがある場合には、アキレス腱周辺の障害が関係していることもあります。
発症した状況や痛みの程度によって対応が異なるため、強い痛みがある場合は医療機関で確認することが大切です。

ふくらはぎが痛くなりやすい人の特徴
次のような方は、ふくらはぎに負担がかかりやすい場合があります。
- 長時間立って仕事をしている
- 長時間歩くことが多い
- ランニングやジャンプ競技をしている
- 運動不足から急に運動を始めた
- 運動量を急に増やした
- 足首の動きが硬い
- 同じ姿勢を長時間続けている
- 姿勢や歩き方に左右差がある
- 過去にふくらはぎを痛めたことがある
ただし、これらに当てはまるからといって、必ずふくらはぎが痛くなるわけではありません。
大切なのは、自分の生活や運動習慣の中で、ふくらはぎにどのような負担がかかっているのかを確認することです。

ふくらはぎが痛いときのセルフケア
ふくらはぎの痛みがある場合、まずは症状を悪化させないことが大切です。
まずは負担を減らす
運動や長時間歩いたことがきっかけで痛みが出た場合は、いったん運動量を減らして様子をみましょう。
痛みが強くなる動作を無理に続けることは避けてください。
特に、急に発生した強い痛みや腫れがある場合は、セルフケアよりも医療機関への相談を優先します。

痛みが強くない場合の軽いストレッチ
筋肉の張りや柔軟性の低下が気になる場合は、痛みが強くないことを確認したうえで、ふくらはぎを軽く伸ばす方法があります。
基本的な方法は以下の通りです。
- 壁に手をつく
- 片脚を後ろに引く
- 後ろ脚の踵を床につける
- 前脚の膝を軽く曲げる
- ふくらはぎが無理なく伸びる位置で保持する
反動をつけず、呼吸を止めないように行います。
「伸びている」と感じる程度にとどめ、痛みを我慢して行わないことが大切です。
ふくらはぎだけでなく、身体全体の柔軟性や動かしやすさを意識したい方は、ストレッチの方法についてまとめた以下の記事も参考にしてください。
ストレッチ中に痛みが強くなる場合や、ストレッチ後に症状が悪化する場合は中止してください。

日常生活を見直す
長時間同じ姿勢を続けている場合は、可能な範囲で姿勢を変えたり、短時間歩いたりするなど、身体を動かす時間をつくりましょう。
ただし、歩くことで痛みが繰り返し出る場合や、一定距離で毎回症状が出る場合には、無理に歩いて改善させようとせず、医療機関に相談することが大切です。
靴や運動環境を見直す
スポーツをしている場合は、現在の運動量や競技内容に対して、靴や運動環境が適切か確認してみましょう。
靴については、単に「クッション性が高ければよい」と考えるのではなく、競技、足の状態、運動内容などを考慮することが大切です。
痛みがある状態で、新しい靴やインソールなどを一度に複数変更すると、かえって身体の負担が変化することもあります。
医療機関を受診した方がよい症状
ふくらはぎの痛みがあるからといって、すべてのケースで医療機関を受診する必要があるわけではありません。
一方で、次のような症状がある場合には、自己判断でセルフケアを続けず、医療機関への相談を検討してください。
- 急に強い痛みが出た
- 歩くことが難しいほど痛い
- 片脚だけ明らかに腫れている
- 赤みや熱感がある
- 安静にしていても強く痛む
- 痛みが徐々に悪化している
- 数日たっても改善しない
- しびれや力の入りにくさを伴う
- 歩くと痛み、休むと改善する症状を繰り返す
特に、片側のふくらはぎが急に腫れて痛む場合は、深部静脈血栓症などの可能性もあるため、自己判断で強く揉んだり、無理にストレッチしたりせず、早めに医療機関へ相談しましょう。
また、脚の症状に加えて突然の息苦しさや胸の痛みなどがある場合は、緊急性のある状態も考えられるため、速やかに医療機関へ相談する必要があります。
理学療法士がふくらはぎの痛みを見るときのポイント
理学療法士がふくらはぎの痛みを評価するときには、痛い場所だけを見るのではありません。
例えば、
- いつから痛いのか
- どのような動作で痛むのか
- 運動量は変化していないか
- 歩き方に特徴がないか
- 足首は十分に動いているか
- 左右で身体の使い方に違いがないか
- 腫れや熱感などがないか
などを確認します。
ふくらはぎの痛みがあるからといって、必ず筋肉が硬くなっているとは限りません。
また、姿勢や歩き方に左右差があったとしても、それだけで痛みの原因を判断することはできません。
大切なのは、痛みが発生したきっかけや症状の経過を含めて、身体全体の状態を確認することです。
私自身が臨床でふくらはぎの痛みを評価するときも、痛みの部位だけでなく、歩行、足関節の動き、運動量、左右の身体の使い方などを確認するようにしています。

よくある質問
Q.歩くとふくらはぎが痛いのはなぜですか?
歩行による筋肉への負担が原因となる場合があります。
一方で、一定距離を歩くと痛みが出て、休むと改善する状態を繰り返す場合には、末梢動脈疾患など血流に関係する病気が原因となっている可能性もあります。
症状が繰り返される場合は、医療機関に相談しましょう。
Q.片方のふくらはぎだけ痛いのはなぜですか?
歩き方や身体の使い方によって、片側のふくらはぎに負担が偏っている場合があります。
ただし、片脚だけの痛みには筋肉や腱だけでなく、血管などが関係している場合もあります。
特に腫れ、赤み、熱感などを伴う場合は、医療機関への相談をおすすめします。
Q.ふくらはぎが痛いときにストレッチしてもよいですか?
痛みの原因によります。
筋肉の張りが中心で痛みが強くない場合は、無理のない範囲で軽くストレッチする方法があります。
一方、急に強い痛みが出た場合、腫れがある場合、ストレッチで痛みが強くなる場合などは、無理にストレッチを行わないようにしましょう。
Q.ふくらはぎが痛いときに揉んでもいいですか?
痛みの原因が分からない状態で、強く揉むことはおすすめできません。
特に、片側のふくらはぎが急に腫れたり、赤みや熱感を伴ったりする場合は、血管の病気なども考える必要があります。
このような場合は、自己判断でマッサージを行わず、医療機関に相談してください。
Q.どのくらい痛みが続いたら病院に行けばよいですか?
痛みの期間だけで判断するのではなく、痛みの程度や症状の変化も重要です。
数日たっても改善しない、徐々に悪化している、安静にしていても痛い、腫れや赤みがあるなどの場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
まとめ
ふくらはぎの痛みは、筋肉の使いすぎや疲労だけでなく、スポーツ、長時間の立ち仕事、姿勢や歩き方、筋肉や腱の障害など、さまざまな原因によって起こります。
そのため、「ふくらはぎが痛い=筋肉が硬い」「ふくらはぎが痛い=姿勢が悪い」と単純に考えることはできません。
痛みが軽く、運動や長時間の立ち仕事など明らかな負担がきっかけとなっている場合は、まず負担を減らし、症状を確認しながら軽いストレッチなどを取り入れる方法があります。
一方で、
- 急に強い痛みが出た
- 片側だけ腫れている
- 赤みや熱感がある
- 歩くと痛み、休むと改善する症状を繰り返す
- しびれや力の入りにくさがある
- 安静にしていても痛い
といった場合には、筋肉以外の原因も考える必要があります。
特に、片側のふくらはぎの急な腫れや痛み、息苦しさや胸の痛みなどを伴う場合は、自己判断でストレッチやマッサージを続けず、速やかに医療機関へ相談してください。
ふくらはぎの痛みを改善するためには、痛みだけを見るのではなく、運動量、歩き方、足首の動き、生活習慣などを含めて原因を考えることが大切です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師による診察や診断、治療に代わるものではありません。症状が強い場合や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考文献
- 日本循環器学会・日本肺高血圧・肺循環学会
『2025年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン』 - 日本循環器学会・日本血管外科学会
『2025年JCS/JSVSガイドラインフォーカスアップデート版 末梢動脈疾患』 - 日本血管外科学会
「深部静脈血栓症って?」 - 日本血管外科学会
「末梢動脈疾患って?」 - Neumann DA.
Kinesiology of the Musculoskeletal System. - Shumway-Cook A, Woollacott MH.
Motor Control: Translating Research into Clinical Practice. - PubMed
医学・生命科学分野の文献検索データベース
この記事の執筆者
バラウンサー
理学療法士
臨床経験20年
整形外科領域を中心に、姿勢評価・運動療法・身体機能改善に従事。
本記事は、理学療法士としての臨床経験と、解剖学・運動学の知識をもとに、一般の方にも分かりやすいように執筆しています。
医学的な診断が必要な症状については、自己判断でセルフケアを続けず、医療機関への相談をおすすめします。
▶ 運営者プロフィール
https://balauncer.com/profile/



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