スポーツと姿勢・筋肉の関係とは?競技特有の動きが身体に与える影響を理学療法士が解説

運動のバランス

スポーツを続けていると、

「左右で筋肉のつき方が違う気がする」

「利き腕や利き足の影響で姿勢が変わるの?」

「同じスポーツを続けることで身体のバランスに影響するの?」

と気になることはありませんか?

スポーツは健康維持や体力づくりに役立つ一方で、競技によって使用する身体の部位や動作、運動量などに特徴があります。

同じ動作を繰り返したり、利き腕・利き足を多く使ったりする競技では、身体の使い方に左右差や特徴が現れることがあります。

ただし、左右差があることだけで「姿勢が悪い」「身体に問題がある」と判断することはできません。

大切なのは、スポーツの特徴を理解したうえで、自分の身体の状態や痛み、疲労、動かしにくさなどを確認することです。

この記事では、理学療法士の視点から、スポーツと姿勢・筋肉の関係、競技によって異なる身体の使い方、左右差が気になるときの考え方、スポーツを安全に続けるためのポイントについて解説します。

スポーツと姿勢・筋肉にはどのような関係がある?

スポーツの競技特有の動作と姿勢や筋肉など身体の使い方の関係を示したイラスト
生成AIにて作成

スポーツには、それぞれ特徴的な動作があります。

例えば、走る、跳ぶ、投げる、蹴る、泳ぐ、身体をひねる、相手と接触するといった動作です。

競技によって必要となる身体の動かし方が異なるため、使用する筋肉や関節、身体の重心の移動にも違いが生じます。

特に同じ動作を繰り返すスポーツでは、特定の筋肉や関節を多く使用することがあります。

そのため、

  • 利き腕と反対側で動きが違う
  • 利き足と反対側で力の入り方が違う
  • 特定の方向への動作が得意になる
  • 特定の筋肉に疲労を感じやすい
  • 左右で動かしやすさが異なる

など、身体の使い方に特徴が現れる場合があります。

これは必ずしも悪い変化ではありません。

スポーツでは競技に適した動作を身につけることが重要であり、競技特有の身体の使い方が身につくこと自体は自然なことです。

一方で、痛みや動かしにくさなどの症状がある場合には、単純に「スポーツをしているから仕方がない」と考えず、身体の状態を確認することが大切です。

スポーツによって身体の使い方はどのように違う?

スポーツによって、身体の動かし方には大きな違いがあります。

スポーツによって異なる左右対称や左右非対称などの身体の使い方を比較したイラスト
生成AIにて作成

ここでは、代表的な特徴を「左右対称の動作」「左右非対称の動作」「柔軟性や大きな関節運動」「身体接触や大きな力を必要とする動作」という視点から考えてみます。

左右対称の動作が多いスポーツ

水泳などでは、種目によって左右の腕や脚を比較的同じように使う動作が多くあります。

このような競技では、左右の身体を協調させながら動かす能力が求められます。

ただし、「左右対称の動作を行うスポーツだから身体の左右差がなくなる」とは限りません。

利き手や過去のケガ、技術、練習量などによって身体の使い方は個人差があるためです。

そのため、競技の分類だけで身体の状態を判断するのではなく、実際の動作や身体の状態を確認することが重要です。

左右非対称の動作が多いスポーツ

野球、テニス、バドミントン、ゴルフなどでは、利き腕や打つ方向によって左右で異なる動作を繰り返すことがあります。

例えば野球では、投球や打撃において利き腕や軸足などが重要になります。

その結果、左右で異なる動作を繰り返すことになり、筋肉の使い方や関節の動かし方にも左右差が現れる場合があります。

しかし、左右差があること自体を異常と考える必要はありません。

競技動作に必要な左右差と、痛みや機能低下につながる左右差は分けて考える必要があります。

柔軟性や大きな関節運動が求められるスポーツ

バレエ、体操、フィギュアスケートなどでは、身体を大きく動かしたり、柔軟性や身体のコントロール能力を必要とする動作があります。

こうした競技では、筋力だけでなく、関節を適切に動かす能力や身体を安定させながら動く能力も重要です。

例えばバレエでは、姿勢を保ちながら腕や脚を大きく動かす動作が多く、身体全体の協調性が求められます。

ただし、「バレエをすると必ず姿勢が良くなる」「柔軟性が高ければケガをしない」という意味ではありません。

柔軟性が必要な競技であっても、身体の状態や練習方法には個人差があります。

身体接触や大きな力を必要とするスポーツ

ラグビーやアメリカンフットボール、柔道などでは、相手との接触や大きな力を発揮する動作が含まれます。

このような競技では、筋力だけでなく、身体を安定させる能力、バランス能力、素早く身体を動かす能力なども重要になります。

また、競技の特性上、身体への負荷が大きくなる場面もあります。

そのため、競技技術だけでなく、適切な練習量や休養、身体の状態を確認しながら取り組むことが重要です。

スポーツによる身体の左右差は「悪いこと」なの?

スポーツをしていると、

「右側だけ筋肉が発達している」

「片側だけ疲れやすい」

「左右で柔軟性が違う」

などの左右差が気になることがあります。

しかし、身体にはもともと左右差があります。

利き手や利き足があることもその一つです。

さらに、スポーツでは競技上必要な動作を繰り返すため、左右で身体の使い方が異なることがあります。

そのため、

左右差がある=身体のバランスが悪い

とは限りません。

重要なのは、左右差があるかどうかだけではなく、

  • 痛みがあるか
  • 動かしにくさがあるか
  • 特定の動作だけで症状が出るか
  • 以前より動作がしにくくなっていないか
  • 運動後の疲労が長く続いていないか

などを合わせて考えることです。

スポーツによる身体の左右差と左右差だけで悪いと判断できないことを示した人体イラスト
生成AIにて作成

スポーツによる身体への影響で注意したいポイント

スポーツを健康的に続けるためには、競技の特徴だけでなく、運動量や休養、身体の状態にも目を向けることが大切です。

スポーツを安全に続けるために運動量や休養、身体の状態を確認するポイントを示したイラスト
生成AIにて作成

練習量や運動強度を急激に増やさない

急に練習時間を増やしたり、運動強度を高くしたりすると、身体への負担が大きくなる可能性があります。

特に、これまであまり運動していなかった人が急に長時間の練習を始める場合には注意が必要です。

自分の体力や身体の状態に合わせて、無理のない範囲から始めることが大切です。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、個人差を踏まえて運動の強度や量を調整することが示されています。

同じ動作だけでなく身体全体を使う

競技によっては、特定の身体の部位を繰り返し使用します。

そのため、競技練習だけでなく、身体全体の筋力、柔軟性、バランス、持久力などを考えることも大切です。

ただし、必要なトレーニング内容は競技や年齢、体力、経験などによって異なります。

「すべての人が同じトレーニングを行えばよい」というわけではありません。

運動前後の身体の状態を確認する

運動前には体調を確認し、必要に応じてウォームアップを行います。

運動後も身体の疲労や痛みなどを確認し、クールダウンや休養を取り入れることが大切です。

特に、いつもと違う痛みや強い疲労がある場合には、無理に練習を続けないことが重要です。

痛みや違和感を我慢して続けない

スポーツをしていると、多少の疲労や筋肉の張りを感じることがあります。

一方で、

  • 痛みが繰り返す
  • 運動するたびに同じ場所が痛む
  • 痛みが徐々に強くなる
  • 動かしにくくなった
  • 日常生活でも痛みを感じる

といった場合には注意が必要です。

「スポーツをしているから仕方がない」と自己判断せず、必要に応じて医療機関などに相談しましょう。

成長期の子どもはスポーツによる身体の変化に注意が必要?

小学生や中学生などの成長期は、身長や体重など身体が大きく変化する時期です。

そのため、スポーツを行う場合も、競技だけでなく休養や栄養、身体の変化などを含めて考えることが大切です。

成長期の子どもがスポーツを行う際に練習量や休養、身体の変化に注意することを示したイラスト
生成AIにて作成

ただし、

「左右非対称のスポーツは成長期に悪い」

と単純に考える必要はありません。

野球やテニスなどの左右非対称な動作を含むスポーツにも、運動習慣や体力づくりなどのさまざまな意義があります。

重要なのは、特定のスポーツを避けることではなく、成長期の身体の状態に合わせて無理なくスポーツを続けることです。

特に、激しい運動や同じ動作の繰り返しによるオーバーユースには注意が必要です。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、こどもについて、身体活動を行うことの重要性とともに、激しすぎる運動やオーバーユースへの注意が示されています。

成長期のスポーツでは、

  • 練習量が急に増えていないか
  • 十分な休養を取れているか
  • 食事をきちんと取れているか
  • 痛みを我慢して練習していないか
  • 身体の成長に合わせて練習内容が調整されているか

などを確認するとよいでしょう。

スポーツによる姿勢や筋肉への影響をセルフチェックする方法

スポーツを続けていて身体のバランスが気になる場合は、まず自分の身体の変化を確認してみましょう。

スポーツによる姿勢や身体の左右差を正面と側面からセルフチェックする方法を示したイラスト
生成AIにて作成

左右で動かしやすさが違わないか

腕を上げる、身体をひねる、しゃがむなど、左右の動かしやすさを比べてみます。

ただし、左右差があるだけで異常と判断することはできません。

特定の動作だけで痛みが出ないか

日常生活では問題がなくても、投球、ジャンプ、ランニング、キックなど特定の動作で痛みが出る場合があります。

どの動作で痛みが出るのかを確認しておくと、自分の身体の状態を把握する参考になります。

片側だけ疲れやすくないか

運動後に毎回同じ場所だけ強く疲れる場合には、身体の使い方に特徴がある可能性があります。

ただし、疲れやすさだけで筋肉や関節の異常を判断することはできません。

以前と比べて動作が変わっていないか

以前は問題なくできていた動作がしにくくなった場合には、身体の状態が変化している可能性があります。

特に痛みを伴う場合には、無理をせず専門家に相談することをおすすめします。

スポーツによる痛みや違和感がある場合は?

スポーツを続ける中で痛みや違和感がある場合は、症状を無理に我慢しないことが大切です。

特に、

  • 痛みが何度も繰り返す
  • 運動後も痛みが続く
  • 痛みが徐々に強くなる
  • 腫れや熱感がある
  • 関節が動かしにくい
  • 日常生活にも支障がある
  • スポーツをすることが難しくなってきた

といった場合には、整形外科などの医療機関への相談を検討してください。

理学療法士は、姿勢や動作、筋力、関節の動きなどを確認しながら、身体の状態に合わせた運動方法や動作について支援する専門職です。

ただし、原因を自己判断するのではなく、必要に応じて医師による診察や検査を受けることも重要です。

スポーツと姿勢・筋肉の関係についてのまとめ

スポーツには、それぞれ特徴的な動作があります。

そのため、競技によって使用する筋肉や関節、身体の動かし方には違いがあります。

特に利き腕や利き足を使う競技では、左右で異なる動作を繰り返すことがあり、身体の使い方に左右差が現れる場合があります。

一方で、左右差があることだけで「悪い姿勢」「身体のバランスが悪い」と判断することはできません。

大切なのは、

スポーツの特徴だけで身体を判断するのではなく、痛みや動かしにくさ、疲労、運動量、休養などを含めて自分の身体の状態を確認することです。

スポーツは身体を動かす楽しさや体力づくりなど、さまざまなメリットがあります。

競技の特徴を理解し、自分の身体の状態に合わせて無理なく続けることが、健康的にスポーツを楽しむためのポイントです。

この記事のポイント

  • スポーツには競技ごとに特徴的な動作がある
  • 同じ動作を繰り返すことで身体の使い方に特徴が現れる場合がある
  • 左右差があることだけで異常とは判断できない
  • 練習量や運動強度は身体の状態に合わせることが大切
  • 成長期ではオーバーユースや休養不足にも注意する
  • 痛みや動かしにくさが続く場合は専門家への相談を検討する

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注意事項

本記事は、スポーツと姿勢・筋肉の関係について一般的な情報を解説することを目的としています。

個人の症状を診断したり、特定の治療方法を指示したりするものではありません。

痛みやしびれ、腫れ、動かしにくさなどの症状がある場合や、症状が長く続く場合には、自己判断せず医療機関などにご相談ください。

参考文献

・厚生労働省
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

・厚生労働省 e-ヘルスネット
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨シート:こども版」

・厚生労働省 e-ヘルスネット
「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」

・厚生労働省 e-ヘルスネット
「運動プログラム作成のための原理原則-安全で効果的な運動を行うために」

・Neumann DA.
Kinesiology of the Musculoskeletal System.

・Shumway-Cook A, Woollacott MH.
Motor Control: Translating Research into Clinical Practice.

・日本理学療法士協会

・PubMed

・日本整形外科学会

この記事の執筆者

バラウンサー

理学療法士
臨床経験20年

整形外科領域を中心に、姿勢評価・運動療法・身体機能改善に従事。

この記事は、臨床経験を持つ理学療法士が、解剖学・運動学・理学療法の視点をもとに執筆しています。

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